※映像は、おひさまはうすの音楽療法担当の市原が主催する市原ピアノ教室湖音の発表会のものです。 おひさまはうすでは、各々の目標やご家族のニーズ等に応じて実施します。
●市原(音楽療法担当)から
「言葉は話せないAさんですが、私とピアノでのやり取りができます。ここで2つ弾いてほしいと間を作るとちゃんと2つ弾いてくれますし、3つ弾いてほしいと間を作ると3つ弾いてくれます。これはまさしく音楽でのコミュニケーション。音楽で気持ちが通じ合ったことが嬉しくて笑うAさん。私もとても嬉しくなります。現在は、指1本で弾く練習もしています。」
●ご家族の声
「先生が弾いてくれる曲をじっと聴いて、知っている曲だとニコニコ大喜び。知らない曲だと“しれーっ”とした顔になります。一曲、一曲に“好き”“いまいち”があって、いろんな表情を見せてくれています。
知らなかった曲を繰り返し聴くことで、知っている曲に変わり、先生と一緒にピアノを演奏することで、好きな曲に変わっていく様が、そばでみていてよくわかります。
音楽、ピアノを通して、感情が豊かになり、人と心通わすことを楽しんでいるなぁ…とA の成長を喜んでいます。」
●市原(音楽療法担当)から
「長年ピアノ教室に通ってくれているBさんは現在社会人。通い始めの頃は、ピアノを弾こうとしないので、大好きなピカチュウのぬいぐるみを使って何とか弾いてもらったものでした。そんなBさん、今では自分で新しい曲を1週間で読譜をして弾いてくるまでになっています。またBさんは自分の曲風を持っていて、それを表現することができます。日本音楽療法学会近畿支部学術大会でピアノ演奏をし、観客を感動させた経歴も持っています。」
●ご家族の声
「まだ、ほんの小さい頃から音楽に合わせていつも踊っているような子どもでした。そして、上手ではないけど歌も大好きで、おしゃべりもままならないのに、歌だけは自分で歌詞を覚えて歌っていました。この子が大人になってもいつも音楽がともにあればいいなと思い、市原先生のピアノ教室に通い始めたのは保育園の年長の時でした。それから長い間、ピアノを練習するというより、歌を歌いにいっていたようなものでした。市原先生もそれに根気よく付き合ってくださいました。そのおかげで、ピアノが嫌いになることなく、ずっと続けることができました。
そんな彼がピアノで自分の音楽を表現するようになったのは15〜16歳くらいからでしょうか。不器用な指で弾いているので決して上手ではないのですが、なんとも優しい彼らしい曲になるのです。自分でもうまく弾けた時はうれしく思っているようで、そのことが自信につながっている気がします。これからもずっとピアノを続けて、できる限り長く音楽を奏でることを楽しみ、またそれが彼の支えになるといいなあと思っています。」
●市原(音楽療法担当)から
「養護学校高等部の時、学校の先生から楽譜が読めるからとピアノを勧められて市原ピアノ教室湖音に通いだしたCさんは、現在作業所に通う社会人。ピアノを習うことは頑張らなければいけないことも多いので、その息抜きとして、ドラムを奏したり、ピアノの即興で遊んだりしています。話すことが好きで、それを演奏の中に盛り込むと、笑いながら何度も同じことを言っては楽しんでいます。家では毎日ピアノの練習をしています。ピアノは、Cさんの生活にしっかり根付いているようです。」
●ご家族の声
「子どもが16歳のとき養護学校の先生にピアノを教えていただいたのがきっかけで、少しでも楽しいことを拡げてやりたいと思い、市原ピアノ教室に通い始めました。もう18年になります。
教室では、指使いや練習曲を習い、ドラムたたきも楽しんでいます。
ドラムたたきは、先生の即興ピアノに合わせてドラムをたたきながら即興で歌う遊びです。これが楽しみで通っているのかなと思うぐらい、いつもイキイキしています。最近は鉄琴やアコーディオンなど新しい楽器にも挑戦しています。
1年半ごとにピアノの発表会があり、ちゃんと弾けるかドキドキですが、本人は普段会わない生徒さんたちとも平気で一緒に演奏し、そのときの記念写真やビデオを繰り返し見ては嬉しそうにしています。
自宅では、TVで気になるメロディーが流れると、ピアノで音を探しながら弾いてみたり、好きな曲のサビメロに自作のメロディーと歌詞を足してオリジナルの歌をつくり、家族3人で歌ったりします。
自閉症で生活パターンを変えたがらず、作業所と自宅だけの生活になりがちですが、ピアノ教室に通うことで音楽の楽しさを体験し、また先生や生徒さんたちとの交流も生まれて、世界が大きく広がりました。」